輸入盤を「非合法化」する著作権法改正2



この話は、昨日の続きです。
昨日の話は、こちら


確かに俺もこの法律改正には、一消費者として反対である。
ただ日本のJ-POPのCDが逆輸入版で安く売られてるとしたら、
俺なら間違いなく高い「通常盤」でなく、安い「輸入盤」を買うだろうね。
そうすると、確かに海外の販売元がもうけて、日本の音楽会社には
雀の涙程度の利益にしかならないんだろう。
(中には、「どうしても「オリジナル」じゃないとダメなんだ!」
 って人もいると思うが、もし質が同じだとしたら
 大部分の人にとっては、「値段」が支配的要素になるんじゃない?)
ここで消費者のすべてが「輸入盤」を買ったらどうなるだろう?
当然のごとく日本の音楽会社は、
商売あがったりで全然儲けにならないんだろうな。
その結果、日本の音楽会社は経営不振になり
日本の音楽界の衰退を招く……。
ってところか?


実は、俺らの身近なところで、これと同様な問題が起きてるじゃん?
米の輸入自由化とか、牛肉・オレンジの輸入自由化なんか
まさにこの話と同じ構造を持っているんだよね。
ちなみに、「自由化」って言っても、牛肉なんかは
やっぱり結構高い関税取ってるんだけどさ。
参考リンク
まぁ、それでも平成3年の関税70%に比べれば
現在では、関税率が半分くらいまで落ちてるんだねぇ……。
んで、この牛肉自由化のせいで、日本の畜産業はどうなったのか?
参考リンク
この参考リンクの、「肉用牛」の列を見てくれ。
見事に牛肉の自由化直後の平成2年から、産出額が落ちているのがわかる。
平成2年は5981億円に対して、平成13年は4310億円。
つまり、約10年の間におよそ30%も肉用牛の産出額が落ちてしまった。
もっと、おもしろいのが
参考リンク
に、こう書いてある。

 輸入牛肉の増加によって、確かに日本の牛肉生産量は漸減してきた。
農林水産省統計によれば、
肉用牛飼養農家数は、平成7年度17万戸ほどあったものが、
平成13年度には10万戸にまで減少している。


フードドリンクニュース

平成7年から平成13年で、農家数が40%減か。
牛肉の自由化された平成2年からだと
間違いなく50%減以上いってると思うんだけど……。
産出額が30%減に対して、甘く見積もって農家数が40%減でしょ?
やっぱ、日本の肉牛業界は大打撃だったんだなぁ……。


さて、話を音楽業界の方へ戻そうか。(笑)
万が一、この輸入規制をしなければ、
牛肉と同じ運命をたどってしまう可能性も否定できない。
消費者が、安い逆輸入盤のJ-POPをこぞって買い、
日本の音楽会社に利益が入らないなんてことになって
日本の音楽会社が50%減なんてことになると、凄まじいことになるぞ。
音楽会社がつぶれると、当然のごとくいろんなジャンルの
いろんなアーティストが活動停止に追い込まれて、
日本の音楽文化も育たないわけで……。
ってことを、文化庁は言いたいのではなかろうか?


個人的な考えだが、俺は文化庁の基本方針には賛成なんだ。
日本は、どうしても「物価」という側面から
他の国よりも不利なコスト条件で音楽を作らなきゃいけない。
自国の音楽文化を守るためには、そりゃ必要な政策なのかもしれない。
ただね、文化庁に一言言いたい。
参考リンクに書かれてるけど

この報告書によれば、海外から還流しているCDは68万枚と
全体のわずか0.4%である。


売り上げがGDP国内総生産)の0.1%にすぎない音楽業界のために、
こんな無意味な輸入規制を行うことは、海外の反発を招くばかりでなく、
知財戦略=業界保護」という印象を与えて、
その価値も失わせることに気づくべきである。


独立行政法人 経済産業研究所

そう、わずがGDPの0.1%の音楽業界の中の、すべてのCD中の0.4%のために
著作権法を改正するほどのことだろうか?
これが、近い将来に逆輸入盤CDの割合が20%とか30%に
確実に上がる予測があればまだしも、そういうわけじゃないんでしょ?


さらに、また明日に続きます。
明日でこの話は終わらす予定。
(続く)