最適解の重要性②
前回の最適解の重要性①(参考リンク)で
最適解について書いたけど、
今日はちょっとした実例を、
数式を出して説明しようと思う。
デルタ航空の1200万ドルの経費削減した話は、
次にまわします。
[問題背景]
さて、この四月から某省に入省した安月給のA君は
朝食を牛乳とシリアルだけで、何とか安く済ませたい。
でも、A君は牛乳とシリアルだけで
栄養失調にならないかどうかすごく不安である。
そこで図書館に行って、最低限朝食に必要な栄養素を調べたところ
タンパク質 ビタミンD カルシウム 9グラム RDA RDA
であるらしいことがわかった。
次にA君は、牛乳カップとシリアル袋
当たりのそれぞれの栄養含有量を調べたところ
タンパク質 ビタミンD カルシウム 値段 牛乳カップ 3グラム RDA RDA 50円 シリアル袋 2グラム RDA なし 65円
という事実を突き止めた。
さて、A君は「朝食に最低限必要な栄養素を取る」という条件の下で
できるだけ安上がりに牛乳とシリアルを食べる場合
どれだけの牛乳とだれだけのシリアルを食べればいいのか?
[問題の主目的]
とりあえず、牛乳カップとシリアル袋を一単位としよう。
ここで、を摂取する牛乳の量
を摂取するシリアルの量とする。
今の問題の主目的は、
「どれだけ朝食(牛乳&シリアル)の値段を安く出来るか?」って事だよね?
朝食の値段をとして
これを数式で表すと。
つまり、このの値の最小化という事と
その時のとの値を求めたいってことが、問題の主目的になる。
[問題の条件]
そして、問題条件としてまず
「朝食の最低限必要な栄養素を取る」って事なので
① ……タンパク質は9グラム以上
② ……ビタミンDはRDA以上
③ ……カルシウムはRDA以上
の3個の条件がある。
さらにA君は、
牛乳の入れすぎでシリアルがびしょびしょになるのを避けたいし
逆に牛乳が少なくてシリアルがぱさぱさしすぎるのも避けたい。
ということで、牛乳1カップあたり
シリアルは袋以上1袋以下という条件を付け加えた。
④ ……牛乳1カップあたりシリアルは袋以上
⑤ ……牛乳1カップあたりシリアルは1袋以下
と、新たに2つの条件を付け加える。
さらにもう一つ加える条件がある。
A君は牛乳とシリアルを「食べる」のであって、
「吐き出す」ことを考えなくても良いので
もも正の数という事を条件に付けておこう。
⑥
⑦
この7つが主目的を解く上での問題条件となる。
[問題の定式化]
最小化 | = | + | ||||
条件 | + | 9 | ① | |||
+ | ② | |||||
③ | ||||||
④ | ||||||
⑤ | ||||||
0 | ⑥ | |||||
0 | ⑦ |
ふぅ、これだけ書くのは結構大変だったなぁ……。(笑)
さて、これで問題の定式化も終わったな。
あとは①〜⑦の条件式を満たしながら、
どれだけの値を小さくできるかなんだけど
とりあえず、①〜⑦の条件を平面上に表したのが上の図です。
青い領域が、7つの条件を全て満たす領域ってことだね。
[zの最小化]
さて、ここで条件をすべて満たしながら
最小になるを探さなきゃいけないんだけど
と青い領域の中に、共有点のあるところが
条件を満たしていることになる。
そこで、共有点のあるギリギリのところまで
の値を少しずつ下げてみる。(上図参照)
すると、=197.5より小さくすると
ちょうどと青い領域に、共有点がなくなるよね?
そう、このとという時が
全ての条件を満たす一番安い朝食費ということになり
その値段は、=197.5円ということになる。
これが実際の例における最適解の導出例なんだけど
問題の規模が大きくなるにつれて、かなりのおいしい話になったりする。
今の例は、たかだが数百円単位の話だけど
これが数千万とか数億単位になると、
最適解を出すだけで、今までやっていた時よりも
何百万とか何千万とかの経費削減ができたりするんだから
経営者には必須の学問だと思うよ。