京都議定書:ロシア大統領顧問 批准法案の議会提出を示唆



参考リンク
とりあえず、簡単にこの「京都議定書」を説明しよう。
地球温暖化にブレーキをかけるために、
1997年に京都で開かれた「京都サミット」を覚えている人いるかな?
ご存知のように、こういう地球全体に影響のあるグローバルな環境問題は、
一国の政策だけでは、なかなか有効な解決策がないんだな。
そこで、京都サミットで
「みんなで協力して地球を守りましょう!」っていう事で
参加国の意見が一致し、この「京都議定書」が発行された。
この京都議定書の画期的な点は、
二酸化炭素等の6種類の温室効果ガスの排出削減に対して、
例えば「1995年の排出量に比べてA国は5%の削減」といったような
数値義務を課したところにある。


ただしこの京都議定書、「発行」はされたけれど
「批准」は未だにされていない。
「発行」とは、単純に「今後二酸化炭素を減らす予定です」
という程度の意味合いで、
「批准」とは「国際条約として認めましょう」って事なんだ。
何で、今の今までこの「京都議定書」が「批准」されてないかっていうと
京都議定書」を発行するときに

1.この議定書は、附属書Iの締約国の 1990年 における
  二酸化炭素排出総量の 少なくとも55パーセント を占める
  附属書Iの締約国を含む 55箇国以上 の条約の締約国が
  批准書、受託書、承認書又は加入書を寄託した日の後
  90日目の日に効力を生ずる。


京都議定書 第25条

っていうくだりがあるんだけど、
上記の要件が、未だに満たされていないんだよ。
だけど上記の文章がまた難解で、よくわからないんだな。(笑)
まぁ、簡単にまとめると以下の二つの要件が満足されると
京都議定書」が国際条約として認められるらしい。

  • 55ヵ国以上の批准

かつ

  • 批准した先進国の、1990年における二酸化炭素排出量の合計が先進国全体の55%を超えること。



前者の条件は、もうすでにクリアされているので
問題になっているのは後者の条件の方なんだ。
んで、とりあえず先進国における1990年の二酸化炭素排出量が
どうなっているかって言うと……

アメリ36.1%
EU24.2%
ロシア17.4%
日本8.5%
その他13.8%

となっている。
そこで、日本とEUとその他の中のほとんどの国が
すでに批准したか、批准が決まっているんだけど
アメリカとロシアが、批准を渋っていたんだよ。
55%を超えるためには、EUと日本とその他の国だけでは物理的に無理なので、
どうしてもロシアかアメリカも批准してくれないと
この京都議定書がいつまでたっても効力が発生しない状況だったんだ。
とりあえず、アメリカが批准を相当に拒んでいるので
何とかロシアに批准してもらおうと、EUや日本が働きかけてたんだけど
ようやく事態が動き出したってのが、今回のニュースなんだよね。


アメリカが何でこの京都議定書の批准をかたくなに拒んでかっていうと
いろいろ要因はあると思うんだけど、表向きの理由は以下のようにいっている。
「先進国には温室効果ガスに対する削減数値義務があるのに
 何で発展途上国には数値義務が無くて、努力目標しかないんだよ?!
 こんなの不公平だから、俺はこの議定書に批准しないからね。」
さてさて、こんな論法で他の国を納得させられるんだろうか?(笑)


いずれにしても、この前も書いたんだけど(参考リンク)
経済活性化と環境問題の両立はなかなか難しいと思うんだ。
確かに「温室効果」とは言うけれど、実際のところ
地球を完全にシミュレートできるわけじゃないので
「このままのペースで行くと50年後には海面が3m上がる」といわれても
確実な数字や論拠に基づいているわけじゃなく、
不確実なデータの中から、今の科学力で推定した値にすぎない。
「そんな本当かどうかもわからない不確実な情報の元で、
 自国の産業を縮小させる方向に舵が切れると思うか?!」
と言われたら、それ以上の反論はできないのも事実。
ただ、世界各国の協力体制ができつつある中で
一番地球温暖化に加担している国が
「俺は嫌だ!」っていうのもどうなんだかねぇ……。
世界のリーダーを自称するのなら、
もう少し協調性があってもいいんじゃないかと
俺なんかは思うわけだが……。(笑)