「エイズに免疫を持つ人々」の遺伝的特性が明らかに



参考リンク(上)
参考リンク(下)
いやぁ、あと何年かすると100%治る病気になるのかなぁ……。


よく勘違いされるんだけど、「エイズ」ってのは
HIV」(Human Immunodeficiency Virus)に感染する事によって
「免疫」が無くなる事で引き起こされる病気の総称を言うんだよね。
だから、「風邪」にいろんな症状があるのと同じで
一口に「エイズ」って言っても、やはり症状はいろいろある。
まぁ、どっちかと言うと「エイズ」が不治の病というよりは
HIV」に感染する事が、不治の病につながるんだよな。


さて、今日はまずこの「エイズ」のメカニズムについて説明しよう。
まず「HIV」が、性交渉だったり、出産だったり、血液を介したり、
何らかの感染ルートで人間の体内に入ってくると、
人間の免疫機能の司令塔である「ヘルパーT細胞」が、
「キラー細胞」に攻撃命令を出す。
通常、ここで「HIV」を排除できればいいんだけど
(HIVは自己増殖できないので、ここで叩き切れば問題無し)
あまりにたくさんの「HIV」が一度に体内に入ってくると
「キラー細胞」の攻撃をすり抜ける「HIV」も出てくるわけだ。


HIV」の目の付け所が良いのか悪いのか、
生き残った「HIV」は、「キラー細胞」の攻撃範囲が及ばない
「ヘルパーT細胞」の中に潜り込んで、
自身の遺伝情報に細工を施してDNAを作り出すわけよ。
そして、その合成された「HIV」のDNAが、
「ヘルパーT細胞」のDNAに取り込まれてしまうんだよな。


その後は、「ヘルパーT細胞」の中でぬくぬくと「HIV」が増殖していき、
ある程度の数になると、内側から「ヘルパーT細胞」を破壊して外に出て、
新たな「ヘルパーT細胞」にパラサイトするって事を繰り返すわけね。
まぁ、その一方で破壊された「ヘルパーT細胞」を補うために
新しい「ヘルパーT細胞」が猛烈に作られるんだけど、
そのうち「ヘルパーT細胞」の供給量が追いつかなくなってしまい、
免疫不全になってしまいエイズを発症するわけだ。


よって、エイズを発症させないためには
今のところ以下の方法が考えられている。

  • ①:そもそも「HIV」に感染しないようにする方法
  • ②:感染した「HIV」の増殖速度を抑える方法
  • ③:感染した「HIV」を完全に体内から除去する方法



①ってのは「コンドーム使え」って事だけじゃなく、
HIV」感染に対する予防薬みたいなものを作る事も考えられていて、
実際、牛乳だったかチーズの中にある特殊なタンパク質が
HIV」の感染防止効果があるんじゃないかと、
どっかの英語論文でちらっと見た記憶があるんだけど
何の論文だったっけかなぁ……。
あと、やはり③ってのは難しいらしく
普通に剥き出しの「HIV」ならまだしも
「ヘルパーT細胞」に入り込まれてしまうと根絶は難しいらしい。
って事で、研究としては②に力が注がれてるんだけど、
HIV」は、増殖の際に遺伝情報をちょっとずつ変えるために
薬に対して耐性を持つ「HIV」もあらわれてきているらしい。


中には特殊体質な人がいて、普通は「HIV」に感染後10年も経つと
エイズの発病率は90%くらいに達すると言われているけど、
15年、20年と過ぎているのに
まったくエイズ発症の兆候が見られない人達がいるらしいんだな。
まぁ前置きは長くなったけど、そこで今回の
HIVに感染したけどエイズを発症しない人たちの遺伝的な特性とは何ぞや?」
って話になるわけだ。


いやぁ、この話もかなり面白そうですごい興味深い。
参考リンク中の文章をよくよく読んでみると
エイズ発症」と「HIV感染」を区別なく書いている感じがしなくもないが、
まぁ文意を読み取れば
北欧出身の人では、「エイズ」に発症しない人がいるどころか
そもそも「HIV」に感染しない人が
人口の1%程度いるかもしれないなんて事が書かれているのに驚きだよなぁ。
しかもそれが、「遺伝子欠損に起因するものらしい」
って事に、再び「へぇ〜」を連発。
さらに、北欧出身の人じゃなくても
HIV」の増殖速度を抑える耐性を持つ人種もいたりと
なかなか学術的にも面白いし、
HIV」や「エイズ」医療に対して希望の持てる内容だよなぁ……。


しかしこの「Wired News」って、
明らかに直訳チックな日本語なので
元の記事は英語なんだろうなっていう事が、すぐにわかるよな。(笑)