「ウェーブレット」とは何か?〜その③〜

monja2005-01-06



参考リンク「ウェーブレット」とは何か?〜その①〜
参考リンク「ウェーブレット」とは何か?〜その②〜
ふむ、という事で今回がこのシリーズ3回目。
今日は、前回〜その②〜で説明したハール変換の
周波数と時間の分解能について説明しよう。


それでは、上記〜その②〜の参考リンク上の
8サンプルハール変換の分解波形(基底)と、
こちらの8サンプルフーリエ変換の分解波形(基底)を見ながら以下を読んで欲しい。
前回でも説明したと思うけど、
フーリエ変換は、8つの基底すべての基底長が同じ8サンプルだけど
ハール変換の場合は、基底の長さがそれぞれ違うよね。


ちなみに、「不確定性原理」っていう原理によって
基底長が長くなるほど、
時間分解能が落ちる代わりに周波数分解能が良くなる一方で
基底長が短くなると、
時間分解能が良くなる代わりに周波数分解能が落ちる
って事が言われている。(参考リンク)
(一応参考リンク出したけど、こりゃ俺も理解不能だわ。(笑))


上の図を見て欲しい。上の図はフーリエ変換とハール変換の
時間・周波数分解能を模式的に表した図である。
ちなみに領域中の番号は、上記の参考リンク中の基底番号を表している。
フーリエ変換は、8つの基底すべてが8サンプルの長さを持っている分、
周波数の分解能が高いのがわかるだろう。
しかしながら、ハール変換の場合は
①と②の基底こそ、8サンプルの長さを持っているけれど
③と④は、4サンプルしかないので周波数分解能が落ちるのがわかる。
⑤〜⑧に関しては、全然周波数分解能が良くないけれど
その代わりに時間分解能が細かくなっているのがわかるよね。
「ウェーブレット」っていうのは、こういう感じで
時間・周波数の分解に比較的自由度を許した変換の事を言うんだよ。


音声や音楽の圧縮を考えるのであれば
人間の聴覚特性を考慮する必要があるので、
高い周波数分解能を持つ変換が求められる。
一方、急激な時間変化をする波形を扱うのであれば、
(地震波や二次元画像信号とかね)
時間分解能の高い変換が求められるわけだ。
だから、音声・音楽圧縮にはフーリエ変換の親戚である
変形離散コサイン変換(MDCT)がよく使われるし、
画像圧縮、画像認識、地震波解析とかには
ハール変換みたいなウェーブレットがよく使われるんだよ。


という事で、次回はハール変換とは違うウェーブレットである
ドベシー・ウェーブレット(Daubechies Wavelet)について説明しよう。