「ウェーブレット」とは何か?〜その④〜

monja2005-01-16



参考リンク「ウェーブレット」とは何か?〜その①〜
参考リンク「ウェーブレット」とは何か?〜その②〜
参考リンク「ウェーブレット」とは何か?〜その③〜
さて、前回はハール変換の時間・周波数特性について書き
ウェーブレットが時間・周波数の分解に
比較的自由度を許した変換だという事を説明した。


今回と次回と次々回では、ハール変換以外でメジャーなウェーブレットの
「ドベシーウェーブレット」を説明しよう。
この「ドベシーウェーブレット」は、画像圧縮の分野で頻繁に使われるんだけど、
とりあえず「ハールウェーブレット」と
「ドベシーウェーブレット」の違いを右図に示す。


まぁ、一言で言ってしまえば
「ハールウェーブレット」は、非重複変換で
「ドベシーウェーブレット」は、重複変換であるって事なんだ。
図上の「ハールウェーブレット」の場合を見て欲しい。
「ハールウェーブレット」は1個の変換フレーム単独で
元の信号を再構成できるに対して、
「ドベシーウェーブレット」は、
変換フレームがフレーム長の半分の長さで重複している様子を表している。
例えば「ハールウェーブレット」の場合、
上記の画像では、最初の1個目のフレームだけで
斜線部分の信号を再構成できるんだけど、
「ドベシーウェーブレット」の場合は、
1個目の茶色のフレームと1個目の緑色のフレームの2つのフレームで
重複している斜線部の信号を再構成できる事を表している。


「ハールウェーブレット」みたいな非重複変換だと、
上記の〜その②〜の参考リンク先の画像に示した
ハールウェーブレットの①や②の基底に対する
変換係数の量子化誤差が、逆変換後に
上記画像に示すようなフレーム間での
不連続なノイズ(ブロックノイズ)を引き起こしてしまうんだけど、
「ドベシーウェーブレット」の場合は
重複変換であるがゆえに、このブロックノイズがあまり目立たないんだな。


さて、それでは次回は「ドベシーウェーブレット」の基底を示し
実際の信号にドベシー変換を適用した例を説明するよ。